会長挨拶

会長 河野 道宏

第31回日本聴神経腫瘍研究会
会長 河野 道宏
東京医科大学 脳神経外科学分野 主任教授
(日本聴神経腫瘍研究会 代表世話人、日本顔面神経学会 理事)

 このたび、第31回日本聴神経腫瘍研究会を担当させて頂くこととなり、東京医科大学脳神経外科学分野の教室員一同大変光栄に存じます。日本聴神経腫瘍研究会は、「聴神経腫瘍の診断と治療に関する諸問題を集学的に検討し、本腫瘍のより適切な治療法の達成に貢献すること」を目的として設立されました。聴神経腫瘍に関わる複数の関連診療科の医師が、年に一度聴神経腫瘍の診断や治療だけでなく、基礎研究など討論を行って参りました。1992年の第1回から約30年が経過しており、その間に、当時の手術一辺倒であった時代から、定位的放射線治療や経過観察の治療方針も確立し、治療オプションを適切に使い分けることが要求される時代に変わりました。

 新型コロナウィルス感染症により、ここ最近2年連続でオンライン開催を余儀なくされてきましたが、感染症対策を講じつつ、本研究会の持ち味である現地開催を3年ぶりに達成するべく、準備を進めて参りました。会のテーマを「聴神経腫瘍・小脳橋角部腫瘍の手術適応、治療適応」とさせて頂きました。その理由は、これまで、聴神経腫瘍・顔面神経鞘腫・頚静脈孔神経鞘腫・グロームス腫瘍などにおいて特に顕著ですが、同じ腫瘍でも、取り扱う科や医師により、手術適応や手術アプローチが全く異なっているという事実があります。患者さんにしてみれば、医師や科によって全く違ったコンセプトや手術方法で治療されることは、理想的な姿とは考えにくいところです。この問題を少しでも解消するためには、各医師・各科がお互いの考え方の違いをよく理解し、知識を共有することが重要と考えています。現状では、手術・放射線治療・経過観察の3つの治療方針に関して、治療のガイドラインと言えるものが稀少であり、本会では、将来必ず求められるであろう「聴神経腫瘍・小脳橋角部腫瘍の診療ガイドライン」のたたき台となるような議論がなされることを期待したいと思います。脳神経外科医、耳鼻咽喉科医、放射線治療医が集い、各々の立場から意見を戦わせる熱い場として頂けましたら幸いです。

 今回は、2つの「初の試み」が盛り込まれています。1つは、日本顔面神経学会とのジョイント開催です。顔面神経と深い関係性を有する聴神経腫瘍に関して議論するにあたり、日本顔面神経学会との合同開催は非常に意義のあるものと考えられ、両学会の交流によるおもしろい化学反応を期待したいところです。

 2つ目は、日本聴神経腫瘍研究会が新体制となって最初の学術集会となる点です。これまで、本研究会は会員登録や年会費徴収を行ってきませんでしたが、研究会の安定した存続を世話人会で検討した結果、通常の学会・研究会と同様に会員登録制となりました。参加や発表を繰り返し、一定の基準をクリアされた医師には、聴神経腫瘍・小脳橋角部腫瘍診療の専門性を本研究会が証明するシステムを作成しました。今回ご参加の先生方には、是非、本研究会の会員となって、今後も学術集会を盛り上げて頂くとともに、専門性を問われるこの分野の診療を自信をもってのびのびと行って頂きたいと考えています。

 第45回日本顔面神経学会会長・東邦大学佐倉医療センター形成外科・林 照明 教授と、合同開催に向けて入念に準備を進めて参りました。至らぬ点もあろうかとは存じますが、どうか両学会を楽しんで頂き、よい交流の場となることを心より期待したいと思います。それでは、どうぞよろしくお願い申し上げます。