会長挨拶

会長 林 明照

第45回日本顔面神経学会
会長 林 明照
東邦大学医学部形成外科学講座 主任教授

 この度、第45回日本顔面神経学会を2022年7月29日(金)、30日(土)の2日間にわたり、東京 蒲田の大田区産業プラザPiOで開催させていただきます。本来は例年に倣い6月初旬の開催予定でしたが、新型コロナ感染症蔓延の影響で今回は7月下旬の盛夏での開催となりました。歴史のある本学会を主催するのは大変光栄であると同時に、この機会を与えていただきました本学会役員ならびに会員諸兄に心より感謝いたします。

 本学術集会のイメージテーマは『笑顔の再現』といたしました。日本顔面神経学会は耳鼻咽喉科、形成外科、リハビリテーション科、脳神経外科など複数の診療科が多様な視点で携わっています。その中で形成外科が行う顔面神経麻痺の再建や治療は、笑いや閉瞼機能の再建など部位別に対応することが殆どですが、顔面の全てのパーツが整えられバランスよく協調し、患者の意識とも連動することで初めて良い『笑顔』が再現できることは言うまでもありません。本学術集会において、顔面神経に携わる各科がそれぞれの強みを発揮した研究・治療・施術の成果や問題点を共有し議論することで、患者本来の表情を取戻すことを目指し、さらに患者に満足してもらえることで「心からの笑顔」の再現に寄与することができれば、という願いを込めたものであります。

 顔面神経に関連する個々の課題には未だ議論の余地が多く、デジタル化や工業技術の進歩に伴い新たな段階へと展開する状況も想定されます。再建領域では症例数の積み上げと適切な評価法によるエビデンスレベルの高い(再)評価が求められています。一方で若手中堅医師には顔面神経に関する代表的手術について、エキスパートだから伝えられる基本手技の妙を動画中心に提示することも有用と考えています。本学会では特別講演、Invited Lectureに加え、シンポジウム、パネルディスカッションとして『形成再建外科の工夫と挑戦、そして長期経過』、『顔面神経麻痺後遺症克服に向けた戦略と挑戦』、『顔面神経麻痺の予後予測』、『ボツリヌス毒素治療の極意』、『笑顔の再現 その評価』、『ビデオシンポ 顔面神経の温存と再建 -硬膜内・側頭骨内・耳下腺部・末梢部-』を企画いたします。

 第45回学術集会は前回に引き続き形成外科が主催することになったこともあり、東邦大学医療センター佐倉病院耳鼻咽喉科教授の鈴木光也先生に副会長をお願いしました。また、本学会では初めての試みとして第31回日本聴神経腫瘍研究会(会長 河野道宏 東京医科大学脳神経外科主任教授)と合同開催する運びとなり、両学会会員が相互に参加しやすい形での運用を考えています。さらに、第12回顔面神経麻痺リハビリテーション技術講習会、大田区共催の区民公開講座(新型コロナウイルス感染症の最新情報、笑いがもたらす健康効果)を開催いたします。

 東京都大田区は町工場がひしめくモノづくりの街でもあり、身近なスマホや医療機器から人工衛星の部品まで、卓越した職人技により精巧で高品質なMade in Japanを世界に送り出しています。蒲田界隈は、古くは松竹キネマ蒲田撮影所があったことで知られ、その所歌であった蒲田行進曲は現在、JR蒲田駅の発車メロディーとして使用されています。大田区産業プラザPiOは東邦大学医学部キャンパス・大森病院からほど近く、京急蒲田駅から徒歩3分の場所にあります。羽田空港や品川駅からのアクセスが良好で、東京都心や横浜方面への接続もスムーズです。

 2022年7月には新型コロナウイルス感染症も落ち着き、学会参加への制限も解除されているものと思いますが、開催形式は現地開催とWeb開催のハイブリッド方式を採用し、選択肢を残す形で準備いたしました。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。